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アドバンスパートナーズ株式会社
代表取締役 辰岡 泰文

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HOME >倒産危機からの復活!! 企業再生 レポートバックナンバー> 第134号 企業再生とは何か?その7


□第134号 企業再生とは何か?その7□


前回までの6回で「肝」=「必須条件」というかたちで、

1,営業利益
2,新会社の設立
3,資金繰り

という3つの肝をお話いたしました。
そして今回は
必須条件4=債権者対策 です。

企業再生の過程で新設法人設立可能で、その新設法人の営業利益が黒字で、
資金繰りが回ったとしたら、これはその新設法人が存在可能と言うことです。

しかし、旧会社はおそらく金融機関に対する残債務が多くあることと思います。
今回はその対策方法です。


仮に旧会社(元々の会社)をA社とします。
A社の残債務に相対する残債権をもつ金融機関(銀行)をB銀行とします。
そしてA社の新設会社をa社とします。

まず、B銀行の立場で考えると

1:A社は残債務を完済せよ > 2:a社はA社の残債務を引き継げ

上記1、2ですとB銀行も残債権の取りこぼしがなく大満足です。
しかしこれですと、A社は新設会社のa社を作った意味がありません。
そこでA社は、


1:A社は残債務を返せません > 2:A社をa社に載せ変えたいa社はA社の残債務を引き継がない


上記1、2ですとA社は大満足ですがB銀行は許しません。
結局、1、2と1 2 は平行線で妥協点がありません。
もしもA社が強引にa社に事業を乗せ変えたとしたら、B銀行はどんな報復手段があるのでしょうか?


1、 抵当権、根抵当権を取っている担保不動産の売却依頼→競売申し立て→競売に依る 抵当権の実行
2、 その他A社所有不動産の差し押さえ→競売申し立て→競売に依る回収
3、 A社所有資産の差し押さえ→返済訴訟
4、 A社及びA社の役員に対する債権者破産申し立て
5、 A社への貸し金に対してそれが詐欺行為であったというA社及びA社役員に対する損害賠償訴訟
このようにB銀行の報復手段は1〜5まで可能です。しかし一般的には4、5は大変稀なことです。

このままですとらちが明きませんので、A社は、B銀行と話し合います。
いわゆる債権者交渉です。話の流れを以下に示しますと


ア:B銀行からは「残債務を全額返済せよ」の一本調子です。

イ:A社は今即時に破産した場合のB銀行への返済(配当)額をB銀行に提示します。

ウ:B銀行への返済(配当)額よりも多い額を事業譲渡対価として
A社の事業をa社に譲渡させてもらいます。

エ:a社はA社に事業譲渡対価を支払い、A社はそれをB銀行に返済します。


結果として、B銀行は、A社が破産したときのB銀行に対する配当○○○万円よりも
配当○○○万円+事業譲渡対価△△△万円となり、
a社に事業譲渡したほうが、回収金額が多くなることによって合理的経済性の名の下に、
A社からa社への事業譲渡が可能となる。


しかし、A社からa社への事業譲渡に関して、以下の大義が必要です。
1、 A社の雇用をできるだけ確保し、失業者を一人でも少なくする社会貢献。
2、 A社の取引先の不渡り、支払い不能をできるだけ回避し、
   連鎖倒産等を最小限にする社会的貢献。
3、 A社が倒産することによってそのサービス(納品等)が無くなり一般社会への影響がある
   (例:その地域に一軒しかなく、替わりの無い必要不可欠な店がなくなる)。
4、 債権者にとって最大限の回収となり、債権者がその株主等から損害賠償訴訟を
   提訴される懸念が無い。
5、 A社の代表取締役若しくは、その一族から私財提供等の最大限の協力があり、
   役員やその一族が財産隠匿など詐害行為、偏頗弁済等の問題が全く無い。
6、 コンプライアンス(法令順守)において、A社、a社、その役員などにおいて、一切問題ない。


上記、1〜6を守った上で、再生の必須条件
(1営業利益 2新設会社設立 3資金繰り)を満たせば必ず企業再生は100パーセント成功します。
しかし、大半の場合は、条件面で多くの欠落がありますが、それを補って成功に導くのが
ターンアラウンダーの腕と言うことになります。

また、実際には、経営者やその家族にとって、5や6が問題となります。
つまり、債権者としては会社や社員を守ってあげる代わりに経営者は、
経営責任の意味を含めて私財提供等最大限債権者に債務返済に協力すると言うのが前提です。

「虎は死んでも皮残す」の諺のように本人(虎)は犠牲と成り代りに
会社(皮)や社員は残してあげようと言うことです。

何かそう言うことが、経営者として潔いと言うような「美意識」が日本文化の中にはあるかもしれません。
いったん失敗したら「死んで償う=表に出てくるな」というような風潮があるのも事実です。


しかし、上記のA社も含めて日本の99パーセント以上は、中小零細企業で、
その社長は、多くのリスクを取ながら起業した人々なのです。

先ほどの話で言うとa社の社長は誰ができるのでしょうか?
たまたま、A社の社長が高齢でその子息に事業継承を考えていたとしたら
a社の社長を子息にさせるのは千歳一遇の機会かもしれません。
しかしそんな場合以外A社の幹部がa社の社長を請け負うでしょうか?

大半の場合はNGです。社長以外リスクを取る人は少なく貴重な存在なのです。

コンプライアンス上、いったん失敗したら「死んで償う=表に出てくるな」ということは、理解できます。
しかし、日本の大半が中小零細企業であるなかで、そんな社長を「殺したら=表社会に出られなくしたら」
いったい日本経済は、だれが牽引するのでしょうか?

金融機関のサラリーマン社員が、法令を盾に、社長を現実社会から抹殺しようとするのです。

起業経験もない金融機関のサラリーマン社員、つべこべ言われるのは心苦しいことですが、
企業再生の局面では、このコンプライアンスの問題と、だれが社長をするのか
という現実問題をバランスさすことが実は、真の必須条件かもわかりません。


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