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アドバンスパートナーズ株式会社
代表取締役 辰岡 泰文

私自身失敗、挫折をバネに事業再生家として再チャレンジしています。 一人でも多くの経営者の方々の「言うに言えないこと」に係わり、元気な笑顔を取り戻していただき、元気な中小企業になっていただくことが私の使命であると考えます。

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ターンアラウンドマネージャー 2008年2月号

ターンアラウンドマネージャー 2008年2月号 特集「DIPファイナンス徹底研究」にて、辰岡 泰文が「セールアンドリースバック」を執筆しました。

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2008年8月9日の大阪日日新聞に掲載されました。

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 セールアンドリースバックとは、文字どおり自身(自社)の保有する資産を、ホールダーとなるスポンサーやリーシング会社 に売却(セール)し、その資産をリース料を支払いながら借りる(リースバック)ことである。この手法が効果的に活用される場面は、大きく分けて二つの局面がある。

(1) 健全経営時のセールアンドリースバック

 一番目は、資産のオフバランスを図る場合である。

経営環境の良し悪しまた、規模の大小にかかわらず、企業は絶えずキャッシュフローの増加を求めている。これは企業経営者もしくは、これに準ずるポジションの方々なら、 誰しも好ましく前向きに捉える考え方だ。会社内に固着している資産をいったん売却することにより流動化して 資金化し、それを新たな再投資に向けることかできる大変有効な手段となる。  この場合のポイントは、その企業が、資産を売却して、セールアンドリースバックを実施した場合の 調達金額(売却額)とリース料のレート(利率)になる。

つまり調達金額(売却額)が、「再投資に必要な資金を捕えるか、期待した資金調達額に足りているか」 ということと、一般の金融機関から借入が可能な場合、 「借入のレート(利率)とリースバックのリース料のレート(利率)を比べて高いか安いか」 ということとなる。

 以下に記した例はどちらかと言うと、企業経営上、通常時(健全経営時)のセールアンドリースバックの 活用とその判断基準となる。例えるなら「自分が持っている濡れたタオルを絞ってコップ に水を溜めるのと、水を買ってきてコップに入れるのではどちらが得で、どちらが容易か」というような理論である。


(2) 企業再生時のセールアンドリースバック

 ニ番目は、企業再生の局面におけるセールアンドリースバックの活用法である。

 企業経営が困難になってきた場合、資金の枯渇 は最初の症状として、避けて通れない道である。つまり資金繰りが苦しくなり、追加融資を既取引 銀行にお願いしたり、新規融資を他銀行と取り組んだり、遊休資産を売却したりするだろう。

 しかしそれらが叶えられない時、借入先の金融機関にリスケジュール(返済計画変更願) をお願いしなくてはならない。そうなると金融機関は、当該企業に対して、 時によっては貸出金の回収を最優先課題として取り組んでくるのである。
そして、資産の売却を勧められたり、 追加担保、追加保証人を要求されたりするのは、日常茶飯事である。

 しかし事業を継続するには、企業経営に絶対必要不可欠な資産を守らなければならない。 どの企業も多くの場合、資産(店舗、工場、経営者の自宅等)には借入時の担保(根抵当権等)が付いている。この抵当権を実行されれば、まさに企業にとっては死活問題となるのだ。

 つまり、製造業の場合では工場がなくなると生産ラインを失うし、また販売業であれば、 店舗を失うと販売拠点がなくなる。

 企業再生を考えた場合、こうした事態はなんとしても 避けなければならない。企業の生死を分ける問題なのである。
そんな時、セールアンドリースバックは、特効薬となり得るのである。


(3) DIPファイナンスとしての効果

 また、セールアンドリースバックは、再生局面におけるDIPファイナンスとしての役割も大きく期待できる。

というのもDIPファイナンスとは、法的手続(民事再生、会社更生)申し立て後、認可決定までの融資を指すが、 一般的に中小・零細企業にとって、DIPファイナンスというものは取り組み難い融資である。
  何故なら、現在我が国では、債務者が、法的手続に着手したことを弁護士に委任し、 受任通知を債権者等に通知した場合、その債務者の債権は完全に事故扱いとなるからである。

  そのような状況では、通常、既融資先からの追加融資等はあり得ないし、また新 規に融資を取り組む金融機関は皆無である。そのような時、的確にスポンサーとなるべきホールダーが存在すれば、DIPファイナンスや、 法的再建手続申し立て以降のつなぎ融資が実現するのである。
  すなわち、債務者の所有する資産 (工場、店舗、事務所等を、いったんホールダーに売却し、売却金を新規運転資金に充当する。 そしてその資産を、ホールダーに賃料を支払いながら従来どおり使用するのである。 これによって一時的にキャッシュが得られ、債務者にとってはどの金融機関からも得られなかった 新規融資と同じ効渦を生むのである。

 また、リースバックの期間(通常複数年)によるが、月額賃料は、当然キャッシュフローか マイナスにならないように設定しなければならない。
  また他方で法的なチエックも行わなければならない。 法的手続(民事再生、会社更生)申し立て後、申し立て企業が資産を売却する場合、裁判所の許可が必要となる。
  実務的には、監督委員に申し出て、その許可を得なければならない。 また、認可決定前までの間の申出であれば、そのセールアンドリースバックが、再生上必要不可欠で、 その企業が破産し、資産を処分して債権者に分配するよりも、その資産を活かして再生する方が返済額が 大きくなるという論理的根拠を構築しなければならない。

 しかし法的手続(民事再生、会社更生)申し立て企業であってもコアコンピタンスが確立されているとすると、 その構築も|一分に可能である。

 法的手続(民事再生、会社更生)申し立て企業の再生計画が認可決定される場合、資産売却によるセールアンドリースバックは、 実現される可能性が高いといえる。


(4) セールアンドリースバックの実務

■1、ホールダーの決定
まずスポンサーとなり得るホールダーに依頼し、資産の売却とその資産の賃借(リース)を申し出る。
現在セールアンドリースバックを事業スキームにしている企業は多くはないが(当社はそれをメイン事業に据えている)、 信頼できる事業者を探さなければならない。
 経営者自身や企業が長年大切にしてきた資産をいったん売却するのだから、十分に検討し信頼のおける相手と組まなければならない。
 その判新基準は、過去の実績やクライアントからの評価となろうが、最後は、ホールダー企業の考え方が、 自身とマッチするかどうかである、いずれにしても企業再生を託すのだから、 信頼感が感じられる相手と組まなければならない。


■2、対金融機関交渉
組む相手が決まれば、いよいよ大切な資産を“担保の池”から救い上げる作業だ。
ホールダー企業と一緒に抵当権を保有している金融機関に出向き、任意売却の交渉にあたるのだ。
 ただしホールダー企業は、金融機関に対する非弁行為とならないように、 最初は、不動産仲介業者という立場で債務者(クライアント企業)と同席し、交渉に臨む。

 そして、その資産について、いくらの金額で、抵当権を抹消してもらい、ホールダー企業に売却できるか交渉を進める。 この交渉のポイントは、債務者にとっては、極力安くホールダー企業に売却した方がリース料も安くなり、 再生の可能性が大きくなるが、金融機関にとっては、いかに高く資産を債務者に売却してもらい 貸出金の回収を大きくするかが、利害の分かれ目になるということである。
 金融機関にとって全額回収であれば、何ら問題はないが、貸出金の償却が発生する場合、 売却金額が大きな障壁になる。
 この場合に、ある種の判断基準としては、金融機関がその担保資産を競売や、 金融機開催の不動産業者に依頼し売却した時と比べて高いか、安いかが、殺人の関心事となる。 もちろん金融機関は、より高く資産を売却してもらい極大回収を図ろうとする。

  つまりホールダー企業は、あらゆる事例や根拠となる資料を持ち出し、 それこそ金融機関と債務者の「綱引き|に尽力するのである(もちろん`当社は債務者の援護であるが)。


■3、リース料の考え方
また、上記の売却が成功すると、その売却金額に基づき、リース科が決まるが、 企業の収益でそのリース料を吸収できるかが、次の大きなポイントになる。

 一般的に年間のリース料は資産の売買全額の数%になり、その12分の1が、1ヵ月の賃料である。 その賃判を収益で吸収できれば、大きな効果が期待できるし、吸収できなければそもそもセールアンドリースバックは成立しない。
 もともと資産に対する借入金の返済が苦しく、任意売却したのにそのリース料が払えなければ全く意味がないのだ。 しかし、借入金の返済額は資産の購入時の総額(土地代金+設備の新品価格)から返済年限で計算されており、 任意売却時の方がけるかに安いのが一般的であるから、これが逆転するケースはほとんどないと考えてよい。


■4、残債がある場合
先程、「金融機関にとって全額回収であれば何ら問題はないが、貸出金の償却が発生する場合」 と記したが、後者の場合、依然として任意売却後の残債務が債務者に残る。
 この場合その残債務を当初の返済年限のままで返済できる資金繰りであるならよいが、 それが不可能な場合は、金融機関と交渉し返済年限の延長等の申出をしなければならない。そして、返済完了年限を延長しても金融機関から見て回収可能であるという計画を提案し、了解をいただく。

  この時大切なのは、金融機関の協力があれば、事業継続による雇用の確保 や、社会的存在意義、納税義務の履行等、果たせられるべき社会貢献が大いにあるという点である。
 金融機関も営利企業であるか、その前に社会の一員としての立場もあるという点を、 様々なエピデンスを挙げ説得しなければならない。

 また、返済完完了年限を延長しても残債務の返済か困難な場合は、会社分割や営業譲渡等「外科的手術」か必要となる。 その際は、金融機関に対し債権の償却を強要することになり得るので、 債務者として詐害行為(資産隠匿等)と認識されないよう十分に配慮し、弁護士等の法的チェックも怠らないことが服要である。

■5、資産買戻しが果たせれば「再生」  また、複数年セールアンドリースバックした後、企業業績が回復したらその資産を改めて買い戻すことも可能である。
 その場合、金融機関との間で新たな融資が受けられるかどうかが大前提であるが、 企業業績が回復し、新規融資後の財務計画がより堅実であれば、十分可能である。
ここまでできて「真」の企業再生であるといえよう。


(5) 事業の収益性がカギ

 最後にセールアンドリースバックに取り組む場合の要点を述べる。

それは、それぞれの企業の収益である。
今儲かっているのか、損をしているのかという本当に単純なことである。
セールアンドリースバックに取り組んだとき、リース料を払って事業が可能かどうかである。 企業体制の維持だけでセールアンドリースバックを行うと、そのうちまた従前と同じく資金繰りで苦しむこととなる。
 その際は、その資産が真に必麦か否か、大きな決断をしなければならない。 企業は、経営環境に絶えずた左右されるが、変化に対応できることが必要不可欠で、 そのツールとしてセールアンドリースバックを考えた時、企業を再起に導く最良の予段となり得る。                  (辰岡泰文)


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